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05家の仕様と技術  
 
構造と工法  

住宅の「構造・工法」は、材料、力を伝えるしくみ(構造)、造り方(工法)などの言葉の組み合わせによって表されています。なお、工法は「構法」と書くこともあります。

工法には大変多くの種類がありますが、戸建て住宅には、大きく次のようなものがあります。

・伝統工法
・在来工法(木造軸組工法)
・ツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)
・鉄骨造(S造)
・鉄筋コンクリート造(RC造)
・プレハブ工法

それぞれの工法の特徴を説明していきます。

◆伝統工法

日本の社寺建築や近世の民家から始まり、世界遺産の白川郷の合掌造りなど地域ごとの気候風土に合わせて独自に発展してきた工法です。太い梁や柱などをあらわし、構造躯体そのものに魅力があります。

【構造】

柱と梁で構成される軸組工法です。柱や梁の仕口や継手といった接合部分に釘やボルトなどの金物を使わず、ほぞや込栓といった楔のようなものを隙間に打ち込んで接合し、木だけで骨組みを構成します。これを木組みといいます。

柱には貫(ヌキ)という水平材を貫通させて柱と梁を繋ぎ、土壁を塗る下地となる竹を固定します。 現在では金物を全く使わずに建てられる家は大変少なく、補強として金物や筋かいを使用しても伝統工法と呼んでいる場合もあるようです。

【耐震性】

地震力が加わったときに、壁は土壁が崩れることで力を分散し、骨組みは傾いても元に戻る粘り強さを持っています。今でいう免震構造に近い形といえるようです。
建築基準法の仕様規定には金物を使うことなどが義務付けられていますが、性能規定により実験結果を元に構造計算し強度を実証すれば、伝統工法でも建築確認の許可が下りるようになりました。

【耐久性】

耐久性は良いといえます。
構造体の多くがいつでも見える状態にあるため、痛み具合に合わせて修復が容易で、世代を超えて家の寿命を延ばすことが可能です。

【施工性】

熟練した技術に頼る工法のため、依頼先による施工技術の差が大きく、施工性が良いとはいえません。現在では技術の伝承が難しく、技術や知識に精通した大工が大変少なくなっています。

【自由度】

太い柱や梁で、大きな間口や空間をとることが可能です。

【工期】

規模や条件によりますが約12〜18ヶ月となります。木材の加工を機械で行うのでなく、大工の手間で行うため、他の工法に比べて工期が長くなります。

【コスト】

長さや太さのある品質の良い国産材を使い、腕の良い大工による施工のため、合板などを使用する現在の在来工法に比べて約1.2倍以上と、割高になります。
良質の国産材の流通が少ないことや腕の良い大工が減少していることもコストアップの一因です。

【増改築のしやすさ】

比較的、増改築に対応しやすい工法です。
また、最近では民家の移築や古材の再利用など、材料の良さを生かし積極的な活用がされています。

◆在来工法(木造軸組工法)

日本で最も広く普及している在来工法は、伝統工法による木の技術を生かしつつも、仕口や継手といった接合部分を金物などで補強し、壁を強固にしていった工法です。
従って、伝統工法のように力を骨組みで分散して柔らかく受けるのではなく、建物が地盤と一体になった固い耐震構造といえます。
厳密にはある一つの工法の名ではなく、総称として呼んでいるため、現在も地域的な差や技術レベルに大きな幅があります。

【構造】

鉄筋コンクリートの基礎の上に木材の土台、柱、梁と組み上げて骨組みができます。そこに筋かいや火打ち材、金物などの補強材で強度を高めていく工法です。
最近では構造用合板やパネルなどを用いて、ツーバイフォー工法の「面」の強さを取り入れた軸組工法も多く採用されています。

【耐震性】

鉄筋コンクリート造などの重く硬い建物と比較して耐震性に劣るイメージがあるかも知れませんが、建物に加わる地震の力はその質量に比例するため、木材の比重が軽い割には強いという性質は有利に働きます。軽く柔軟性を持つ木造の特徴を考慮し、きちんとした設計と施工をすれば一概に劣るとはいえません。
斜め材(筋かい)や構造用合板などを使った耐力壁と構造を補強する金物により地震に耐えるので、必要な量の耐力壁をバランス良く配置することが大切です。

【耐久性】

鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して耐久性は短く、一般的には約30年位で大規模な修繕が必要と言われています。また、湿気に弱いため、防湿、防腐、防蟻処理が必要です。

【施工性】

施工する職人のレベルにより仕上がりに差が出やすい工法です。ただし、歴史が長く、広く普及しているだけに施工数はどの工法よりも多いといえます。

【自由度】

自由度は高く、様々な敷地にあわせた設計が可能です。窓などの開口部の位置や大きさも比較的自由に設計することができます。

【工期】

規模や条件によりますが、約5〜6ヶ月となります。2×4工法やプレハブ工法と比較すると長くなります。

【コスト】

他の工法と比べてコストを抑えることができ、例えば平成16年度の住宅金融公庫の調査では全国平均551,410円/坪となっています。
解体費も安価で、構造体が軽いため地盤への負荷が少なく、地盤改良などの費用も抑えることができます。

【増改築のしやすさ】

他の工法と比べて、自由に増改築しやすいのが特長といえます。

◆ツーバイフォー工法(木造枠組壁工法)

北米で開発されたツーバイフォー工法は、基本となる構造材のサイズが2×4インチであることからこのように呼ばれます。

この工法は、日本の木造技術者の質、量の不足や国産材よりも大量伐採される輸入材の方が安価であるという木材供給事情の変化によって、住宅の工業化や合理化を促すことが期待されて北海道を中心に広まってきました。

【構造】

軸組工法が線材で支えているのに対し、柱がなく床や壁、天井の6面を面材で構成する工法です。2×4材の他に2×6材、2×8材、2×12材、4×4材なども使われています。

床、壁、天井の各部位が独立して作られるために、気密性、断熱性に優れたものが造りやすいことが特長です。ただし、床と外壁、外壁と間仕切壁などの部分で防湿シートが切れてしまうため、各取り合い部での留意が必要です。

【耐震性】

床や壁の面で支える箱型構造であり耐震性、耐風性にも優れます。構造用合板などの合板類を壁の下枠から上枠まで一杯に貼り、規定の間隔で釘を打った壁を耐力壁といいます。必要な耐力壁の量を満たしつつ、バランス良く配置することが大切です。
また、耐力壁線に設ける開口部の寸法など、構造に細かくかなりの法的制限がある中で設計されるため、安全性が保証されているともいえます。

【耐久性】

鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較すると短く、一般的には約30年位で大規模な修繕が必要と言われています。また、湿気に弱いため、防湿、防腐、防蟻処理が必要です。

【施工性】

工場で生産された規格材をマニュアル化された施工方法で施工し、部材の種類が少なく接合部も簡単なつくりのため、職人の技量に左右されにくい施工性の良い工法です。従って、施工による品質のばらつきが防げます。

【自由度】

設計に一定の制約を受けるために、在来工法に比べて間取りの自由度も低く、開口部の大きさにも制限を受けます。

【工期】

規模や条件によりますが、約4ヶ月程度です。合理的なつくり方で工期が短いことが特長です。

【コスト】

比較的安価で、平成16年度の住宅金融公庫の調査では全国平均603,042円/坪となっています。在来工法の約1.1倍程度です。
在来工法と同様に、構造体が軽いため地盤への負荷が少なく、地盤改良などの費用も抑えることができます。

【増改築のしやすさ】

壁面の量とバランスで建物を支えるため撤去できない壁があり、間取りの変更などは制限されます。
特に、ハウスメーカーの住宅では独自に改良し、工法の内容を公表していない場合もあり、どの壁を外しても良いか分からないために増改築がしにくい場合もあります。

◆鉄骨造 (S造)

鉄骨造は柱、梁、筋かい等を鋼(ハガネ)で造った構造です。鋼とは鉄に微量の炭素を加えたもので、硬さとねばり強さの両方を持っています。揺れやすく、音が響きやすいといったデメリットもあります。

【構造】

重量鉄骨造は、厚さ6ミリ以上の鉄骨を主な部材として使い、角型鋼管やH型鋼などを用いて3階建て以上の比較的大きな建物に使われます。

軽量鉄骨造は、厚さ6ミリ以下の鉄骨を主な部材として使われ、リップ溝型鋼(C型チャンネル)など形状も異なります。小規模の建物や鉄骨系プレハブ住宅などで採用されます。

骨組みの構成で分類すると、柱、梁を固く接合して力に対抗するラーメン構造と、柱、梁、ブレース(筋かい)で支えるブレース構造などがあります。

 

【耐震性】

鋼は木材に比べて強度が大きく、軽量なため、耐震性も高いといえます。ただし、部材の接合部をつなぐ高力ボルトの締めつけ不足や、溶接の施工不良などがあると、強度が落ちる危険性があります。
他に、細長い材は座屈という脆い壊れ方があるため注意が必要です。

【耐久性】

耐久性に優れ、条件によって異なりますが、一般的には約35年位で大規模な修繕が必要と言われています。
なお、鋼材は高熱に弱く500度を超えると一気に強度が落ち崩壊するという欠点や錆びやすい素材のため、断熱材で覆うなど耐火処理をしっかりと施すことや防水、防錆処理、結露対策が必要です。

【施工性】

工場で、長さや仕口(部材の取り合いの部分)を加工して、現場に搬入し組み立てます。使用される鋼材はJIS規格品で、強度や性能といった品質も一定であることが特長です。
重量鉄骨造の場合、現場でクレーンなど重機を使用するため、前面道路が狭い場合や空地がない場合などは搬入や組み立てが難しく、施工できない場合があります。

【自由度】

重量鉄骨造は、柱型が建物内に出るため仕上げやデザイン的なデメリットはありますが、設計の自由度は高いといえます。柱と柱の間隔を木造よりも広げることができるため、大きな開口のある広い空間を設計することが可能で、間仕切りも自由に設けられます。

軽量鉄骨造は、柱型がないためすっきりとした空間が可能ですが、ブレースが入っている耐力壁が必要となるため、自由度に一定の制約がでてきます。

【工期】

規模や条件によりますが、約6ヶ月程度です。工場での作業割合が多く、工期が比較的短いといえます。

【コスト】

2006年現在、北京オリンピックによる鉄の高騰のため、ほぼ鉄筋コンクリート造に近く、在来工法の約1.3倍程度と割高になっています。通常は在来工法の約1.1〜1.2倍程度で、重量鉄骨造に比べて軽量鉄骨造のほうが安価です。

【増改築のしやすさ】

柱と梁を動かさなければ、増改築しやすい工法です。

◆鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋とコンクリート(セメント、砂、砂利、水)を組み合わせて構造体をつくります。鉄筋コンクリート造には大きく2つに分けられ、ラーメン構造と壁構造があります。

 

【構造】

ラーメン構造は、接合部が固くつながった柱と梁で支えます。
壁式構造は、柱や梁は無く、壁で支える構造です。

【耐震性】

耐震性に大変優れています。鉄筋の引張力に強い性質とコンクリートの圧縮力に強い性質を組み合わせて、お互いの特性を生かした構造となっています。
ラーメン構造は柱、梁などで力を伝達させ、壁式構造は壁全体で力を伝達させています。これら柱、梁、壁の中の鉄筋量が不足していたり、コンクリートとの付着が不十分であったりした場合、建物に加わる力に対抗できなくなり、やがて崩壊にいたります。

【耐久性】

耐久性、耐火性、耐熱性に優れ、一般的に他の工法より2倍以上の60年程度といわれています。
火や錆に弱い鉄筋をアルカリ性に強いコンクリートが保護しています。しかし、コンクリートが空気中の二酸化炭素によって中性に変えられると鉄筋が錆び、コンクリートはひび割れていきますので、鉄筋に対してコンクリートのかぶり厚さを適切にとる必要があります。

【施工性】

現場で鉄筋を組んで型枠を建て込み、コンクリートを打設します。従って大部分が現場施工となり、打設の仕方で品質に大きく差が出ます。施工の良否が強度に影響を与えるので、施工管理が重要です。
また、敷地条件が厳しいと、施工が難しくなります。

【自由度】

ラーメン構造は、開口部を大きく空けることができ、自由に間仕切りできる一方で、柱型や梁型が室内にみえてくるというデメリットがあります。
壁式構造は、柱が無いためすっきりとした空間が取れる反面、空間構成の自由度は低く、大空間は難しくなります。

【工期】

約8ヶ月程度と工期が長く、さらに完成してからコンクリートが完全に乾くのには、数年かかるといわれています。

【コスト】

コストは、在来工法の約1.3倍程度、解体費用も約1.7倍程度必要となり、他の工法に比べて割高です。
さらに建物自体が重いためボーリング調査を行い、適切な地盤改良や基礎工事が必要となります。場合によってはそこに大きなお金が必要なるので、予算計画には留意する必要があります。

【増改築のしやすさ】

既存部と増改築部分の鉄筋を繋ぐためにコンクリートを削るハツリ工事や、増改築部のコンクリート打設工事など、大きな振動や騒音、粉塵や汚水などが発生するため、増改築しにくい工法です。

◆プレハブ工法

ハウスメーカーのほとんどは、構造・工法に関わらずプレハブ工法を採用しています。

プレハブ工法とは、あらかじめ(プレ)、工場で生産された(ハブ)屋根、壁、床などの部材を現場で組み立てる住宅のことです。 木質系、鉄骨系、コンクリート系と材質によって分かれ、プレハブ工法をさらに進化させた、ユニット工法もあります。

工場生産の割合が大きいため、安定した品質に特長があり、熟練した技術者でなくても、一定のレベルのものができあがります。

【自由度】

規格内での設計となるために、基本プランを組み換える程度となり、敷地条件やこだわりたい要望などによっては、対応が難しいようです。

【工期】

決まった規格・仕様があるために、短いのが特長です。ハウスメーカーにもよりますが、約2ヶ月〜4ヶ月程度です。

【コスト】

決まった規格・仕様のまま建てるのであれば、大量生産のコストメリットを生かし、安価に仕上げられるようです。ただし、こだわりたい要望や変形敷地などの特殊な設計によっては、割高になってしまう場合もあります。

【増改築のしやすさ】

工法の内容を公表していない、詳細な図面を施主に渡さないハウスメーカーがあり、増改築がしにくい場合もあります。



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