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07家が建つまでのキーワード  
 
環境ホルモンと自然素材  

人間は自分達の生活を便利で豊かなものとする目的で、本来自然の中では存在しない多くの物質を作り出してきました。しかし近年、このような形で作り出されたものが人体に少なからず悪い影響を及ぼすことが指摘されるようになりました。 これが環境ホルモンで、正式には「外因性内分泌攪乱化学物質」といいます。

本来のホルモンは、私たちの身体の各器官に対し、必要な時に必要な作用をします。 しかし、環境ホルモンは体内に取り込まれると、私達が持っているホルモンと同じように作用し、内分泌系と密接に作用しあっている免疫系や神経系にも影響を及ぼし、からだ全体の調節機能のバランスが乱れることになります。

環境ホルモンは、非常に微量で作用し体内に蓄積するものがあったり、母親から子供に移行し次世代に亙って影響することや、急性の毒性がある訳ではなく子供が大人になってから現われるものなど、影響が分かりにくいため因果関係の解明が難しいといわれていますが、アトピーなどの免疫系疾患、人の精子の減少、精巣ガン、前立腺ガン、子宮内膜症、子宮ガンなどは、環境ホルモンの影響が疑われています。

日本が世界に類を見ないほどの環境ホルモンの汚染国となった背景には、豊かさや利便性だけを追求し、本来自然界に存在しなかったものをつくり出し、それがゴミとなって焼却されるときに恐るべき環境破壊を起こすということへの配慮が足りなかったという事情があります。

内分泌撹乱作用を持つと疑われている物質として、環境庁では約70種類の物質群をリストアップしていますが、ダイオキシン類やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、農薬(除草剤、殺虫剤)、ビスフェノールA(プラスチック原料)、ノニルフェノール(非イオン性界面活性剤の原料)など生活に密着するものがあげられています。

近年の住宅建築においては、日本の四季の中であたりまえのこととして変化する、自然環境の条件を全く無視して開発された人工素材や新建材を多用した住宅が建てられてきました。例えば、合板、パーティクルボード、壁紙用接着剤等に用いられるユリア系・メラミン系・フェノール系等の合成樹脂、接着剤、一部ののり等の防腐剤、ポリスチレン樹脂等を使用した断熱材、内装材等の施工用接着剤・塗料材、白あり駆除剤などはその一例です。 このような建材を使った住環境から受ける環境ホルモンの影響も否めません。

そこで住宅においてもいろいろな取り組みがなされるようになりました。 平成15年7月に改正され施行された建築基準法では、ホルムアルデヒドの発散速度により建材をF☆の数によって4種類の等級に分類し、それぞれの等級ごとに内装仕上げの使用を制限したり、24時間換気システムの設置が義務付けられています。

◆ホルムアルデヒド発散速度による等級区分
区 分 ホルムアルデヒド
発散速度 区分記号 使用制限
規制対象外 0.005mg/m2h以下 F☆☆☆☆ 制限なし
第3種
ホルムアルデヒド
発散建築材料 0.005mg/m2h超
0.02mg/m2h以下 F☆☆☆ 使用面積制限
第2種
ホルムアルデヒド
発散建築材料 0.02mg/m2h超
0.12mg/m2h以下 F☆☆ 使用面積制限
第1種
ホルムアルデヒド
発散建築材料 0.12mg/m2h超 - 使用禁止

また新建材を使って建てるという考え方ではなく、自然にある素材を建築材料として使用することも意識されています。 自然素材は、素材自体が環境を調整していく機能を持ちます。素材自体が呼吸をし、吸湿・吸水性に優れ、湿・温度の調節が可能です。もともと自然界にあったものをそのままに利用しているため、身体に悪影響を及ぼすようなこともありません。

家を使い捨てるといった考え方で短いサイクルのうちに建て替えていけば、それは大きなゴミが増える原因となります。その廃棄時、また使い捨てにより次に新しいものを製造していく過程でも環境ホルモンの影響は免れません。 住宅においては年数が経過しても機能的で快適に暮らせる住宅を、いかに長く維持していくかということ考えていくことも必要です。

現在の生活環境をそのままに維持しながら有害な化学物質を完全に切り離すことは不可能です。 私達の生活を取り巻いているこの状況を考えれば、国や企業だけの問題として片付けておくことは出来ません。自らの手で安全で健康な暮らしを確保する事を、私達一人一人が考えなくてはいけないようです。



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